2000年のサンモリッツ以来、ジャンプが飛べていない。
「もうそんなになるのかぁ。。。」クラウス・ズルツェンバッハーが引退して13年が経った。11年のワールドカップ人生で通算14勝を上げ、88年90年と2度の総合優勝を果たしている。五輪で4つのメダルを獲得した。40歳のズルツェンバッハー氏は現在シュタムスで後進の指導にあたるっている。そのズルツェンバッハー氏がオーストリア複合界の現状について語ってくれた。
Q:まずはマリオ・シュテヒャーの7年半ぶりの勝利と復活についてどう思うか。
Sulzenbacher:もちろんオーストリア全体にとって喜ばしいことだ。特に今年は五輪シーズンだからね。僕ら関係者でもマリオがまた勝てるようになるとは思っていなかった。シーズンの幕開けとしては最高だったね。本当に嬉しいよ。
Q:それにしてもなぜ彼がまた勝てたのだろうか・・・
Sulzenbacher:理由はいくらでもあるさ。でも本当のところはシュテヒャー自身もわかっていないんじゃないかな。彼は昨シーズンの段階でかなり走れる選手になっていた。もし彼が世界選手権中に病気にならなかったら、団体で金メダルを獲得することができたかもしれない。彼はジャンプが上手くいけば、勝てる選手になった。
Q:シュテヒャーは才能のある選手と言われていた。でも彼の才能は充分に成績に結びついていないのでは?
Sulzenbacher:ワールドカップ通算8勝は悪くない成績だと思うよ。それに総合優勝も一度はほとんど取りかけている。でも残念ながら2000年3月のサンモリッツでの転倒が全てを変えてしまったね。おそらく・・・彼もかつてのジャンプが二度と戻ってこないことはわかっているんだと思うよ。あれ以来、彼らしいジャンプが飛べていない。彼は本当に素晴らしいジャンパーだったからね。
Q:でもジャンプが飛べても今のルールでは充分とはいえない。
Sulzenbacher:その通りだ。例えばクリストフ・ビーラー。彼は素晴らしいジャンプをするしそこそこ走れる。でもいつもあと少しのところで・・・あと数秒のところで表彰台を逃している。優勝までほんの数秒足りないんだ。でもシュテヒャーは優勝するためのバランスがより取れた選手といえる。
Q:オーストリア複合界全体をどう見ているか?
Sulzenbacher:シュタムスで指導にあたる立場として才能の発掘に無関心ではいられない。クロメシェク氏とフェルダー氏が率いるナショナル・チームはとても上手くいっていると思うよ。ゴットバルトに加え、シュテヒャーも再び勝てる選手になったからね。そしてビーラー、グルーバー、クライナーと上位に食い込める選手がいる。チーム力では他国に負けていないと思うよ。
Q:五輪への期待は?
Sulzenbacher:まずはメダルだ。でも複合勢は大舞台できっちりメダルをとるからね。でも金メダルとなるとわからいなぁ。。。誰も「予定通り」金メダルを獲得することはできないからねぇ。。。ゴットバルトにしてもシュテヒャーにしても個人で金メダルは難しいかなぁ。。。可能性があるとしたら団体かなぁ。。。
Q:あなたもカルガリーでは金メダルを逃してしまいましたしね。
Sulzenbacher:僕は・・・優勝候補の筆頭だったんだよね。でも銀メダルに終わった。あの時は本当に残念だった。でも引退してからわかったんだ。何色でも全てのメダルが素晴らしいものだとね。
Q:現役時代を振り返って、「もっとできたはずだ」と思うことはある?
Sulzenbacher:うう〜〜ん。今ではトレーニング方法もマテリアルも進化しているからね。僕はあの頃はあの頃でベストだったと思うよ。これ以上のメダルは不可能だったと思う。13年たった今でも自分の成績に誇りを持てる。すばらしい現役時代をすごせたよ。