シュテヒャー・インタビュー

Q:金メダルの実感はわいてきた?
Stecher:実感も何も夢がかなったというだけだよ。五輪で金メダルを取りたいというのは小さな子どもの頃からの夢だった。だからゴールは素晴らしい瞬間だった。
Q:どこで安全なリードだと思った?
Stecher:もちろんテレビで見ているのとは違うよ。もっと前の段階でわかっていた。ガイサーが僕のアタックに反応できないことはわかっていたからね。
Q:アタックはとっさの判断?
Stecher:いいや。コーチと決めていた。更にゴールスプリントになった場合、スプリントは出来るほうだけど、(ガイサーと比べて)どうなるかわからなかったからね。ガイザーを早めに捕まえたから休みながらアタックの準備ができた。最後の登りではいらいらしていたから冷静になろうと自分にブレーキをかけていた。
Q:なんだか完璧に見えるけど、最終走者を嫌がらずに引き受けたって本当?
Stecher:本当だよ。断らなかった。フェリックスよりはゴールスプリントは強いからね。でも最初は反対だった。最終走者は責任が大きくなるからね。
Q:今は祝福されているけど、3年前の世界選手権で団体金メダルを獲得したときは出場できなかったね。どのくらいつらかった?
Stecher:とてもつらかったよ。もちろん仲間たちが金メダルをとった瞬間はとても嬉しかった。でも同時に悔しかった。だって10年間一緒にやってきたのにチームが最高の栄誉を手にした時、僕はそこに居なかったんだから。
Q:挫折は2003年だけじゃないよね。例えば怪我のあとは止めようと考えたでしょ?
Stecher:いや。だって怪我は完全に治ったからね。でもその後上手くいかないことが何度も何度もあった。2002年のクリスマスの頃はすっかり自信がなくなっていた。もう少しでワールドカップBに落ちるところだったからね。
Q:それでも1994年からずっと世界のトップで戦っているよね。面白いのは最初はジャンプの選手だったのに今はクロカンの選手になったよね。なぜだろう?
Stecher:まずはルールが何度も変わったこと。複合はクロカンを重視するようになったからね。次に若いころは、よく言われていたように、クロカンを分かっていなかったんだ。何も知らないで走って、ジャンプでのリードを潰していくだけだった。でも今はジャンプで10位くらいでも勝てるってことが分かったので良かったよ。
Q:前にゴットバルトがいなければね。
Stecher:その通り。彼が前にいたらチャンスは全くないよ。
Q:クロメシェク氏が退任を表明したけど?
Stecher:彼とは10年間素晴らしい時をすごせたよ。僕が言えることは、次も素晴らしいコーチがくればいいということだけだ。
Q:この10年で何が変わった?
Stecher:僕らの成功によってスポーツの価値がとても大きくなったと思う。例えば収入の面でもね。僕は普通の28歳よりずっと収入が多いと思うよ。もちろんアルペン選手にはかなわないけどね。もしベニー(ベンヤミン・ライヒ)が勝つと50,000人がスキー板を買うって言われているけど、僕らが勝っても誰もジャンプ用の板を買わないよね。
Q:ベンヤミン・ライヒといえば彼の妹とは随分長い間付き合っているけど、彼とは一緒にトレーニングしたりするの?
Stecher:彼とはいい関係だよ。春には一緒にスキーしたり休暇をすごしたりするよ。
Q:それでいつ彼と兄弟になるの?
Stecher:全てのことをしっかり考えてからね。女性にとっての結婚は男性にとってのそれよりずっとロマンティックなことだからね。それに僕には問題がまだあるんだ。まずはダンスをならわなきゃね。(笑)。